片目の貴婦人(後編)
◎白いネコの想い出(№2)
今、その時のことを思い出しても、それは『突然』の2週間でした。
彼女の食欲が急に無くなったので、急いで獣医さんへ行きました。
ところが、すぐに精密検査をしたいとのこと。
そして、獣医さんから言われた病名が『急性白血病』でした。
(人間でもないのに、そんなバカな!!)
獣医さんは、そんな私の気持ちが分かったのでしょう。
本を見せてくれましたが、しかし、本の内容が更に追い討ちをかけました。
生存率がかなり低いのです。本当にショックでした。
「助かる方法は、何もないのですか?」
祈るような気持ちで聞くと、
「人間と違い、骨髄移植はできません。
可能性としては…若い元気な猫から、
健康な血液を多めに輸血する方法ぐらいですね。
半日ぐらいかけて、負担を掛けずにゆっくりと輸血しますので、
このまま入院できますか?」
迷ってなんかいられません!!
先生のお宅の猫ちゃんから血液を分けてもらい、
彼女と『白血病』との闘いが始まりました。
輸血後も、様子を診るための日帰り入院が3日ほどありました。
彼女はすっかり元気になり、
お鼻も肉球もピンクで、食欲も元に戻りました(^^)
その様子に家族もホッとして、
(もう大丈夫)と思った1週間後の検診の時、
先生の顔が曇っているのです。
「検査の結果が良くないのです。
数日後にまた輸血をした方が良いと思いますが…
2回目になると治る可能性は、かなり難しいと思います」
(まさか、こんなに元気なのに!ウソでしょう!)
でも、2~3日後には、
獣医さんの診断通りに食欲が無くなりました。
2回目の輸血をしましたが、前のようには元気になりませんでした。
2日間の日帰り入院が終わった翌日、私が彼女の顔を見ると、
彼女も片目でしっかりと私を見つめ返しました。
そして、その目がはっきりとお別れを言っているのです。
私は、その思いを受け止め、
「分かったわ。もうこれ以上は無理なのね。
よく頑張ってくれて、ありがとう!」
と言うと、涙が止まりませんでした。
その夜、想像していたように容態が悪くなり、
主人の帰宅を待つように、
家族に見守られながら天国へと旅立ちました。
その静かに横たわっている姿は、
まるで『貴婦人』が眠っているように上品でした。
主人の机の上では、今日も彼女の上品な顔の写真が、
私を見つめています。
天国では、失くした片目もきっと戻り、
両目でしっかりと私達を見守っていることでしょう。
あなたの貴婦人のような優雅な姿は、いつまでも忘れません。
たくさんの想い出を…ありがとう。
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ねこ香炉 発売日:2005/07/11 |
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